家族による高齢者虐待はなぜ起こるのか?
「高齢者虐待」についてご存知でしょうか?
そんな悲しいニュースを目にすることがあると思います。
そのニュースを見て「ひどいやつだ」
「最低だな」「かわいそう」・・・など
さまざまな意見があると思います。
虐待をする側が加害者である・・・
しかし「高齢者虐待」とは本当にそうなのでしょうか?
介護業界で長い間、高齢者虐待の現場を見てきた私はそうは思いません。
確かに、虐待はいけないこと。絶対にしてはならないこと。
でも実はその裏に隠された背景と、さまざまな実態が隠れているとしたら・・・
みなさんにとっても高齢者虐待は他人事ではないのです。
もしかすると明日は自分が虐待してしまっている可能性だってあるのです。
今回は【在宅介護における高齢者虐待】についてまとめています。
高齢者虐待は施設より在宅が多い
施設の職員からの暴行で、施設の名前が取り上げられ、警察に捕まる…
そのようなニュースをときどき目にしますが、
実は日本では施設で起きる虐待よりも在宅で起きる虐待のほうが多いのです。
誰にも相談できない、いつまで続くかわからない現状に苦しむ家族がたくさんいます。
高齢者虐待の現状
高齢化がものすごいスピードで進むなか、
高齢者を見守り介護する立場にある介護者の高齢者虐待が後を絶ちません。
高齢者虐待が増えている背景には社会的関心の
高まりによって通報件数が増えていることも影響しています。
ただ、これは公的機関が確認できている件数だけであり、実はまだ「発見されていない」
「ばれていない」「まさにいま、虐待が起きている」数はかなりの数になると考えられます。
虐待の5種類
主に虐待は5つに分類されます。
①身体的虐待
身体的虐待とは、殴る・蹴るなどの暴力行為をすることです。
また高齢者の意志を無視し、必要以上の身体拘束をおこなうことも身体的虐待に含まれます。
身体拘束はベルトやひもでの拘束だけでなく
脅したり威嚇するなど、言葉で高齢者の行動制限することも当てはまります。
②ネグレクト(介護放棄)
ネグレクトとは介護放棄。高齢者の介護をおこなわないことです。
具体的には「入浴や排泄ケアをしない」
「食事や水分を与えない」「医療機関などへ受診する機会を与えない」などの行為です。
介護を必要とする人に適切なサポートしないことは、高齢者の生活環境や心身状態の悪化につながります。
さらに、介護放棄から死に至ったり、身体的虐待に発展する場合もあります。
③心理的虐待
心理的虐待とは、侮辱する、脅すなどの言葉の暴力、無視、嫌がらせなどです。
高齢者を言葉や態度で傷つけたり、尊厳を踏みにじったりするような行為は、すべて心理的虐待にあたります。
心理的虐待では、介護者が気づかないうちに虐待をしてしまっていることが多いです。
介護によるストレスを無意識のうちに高齢者にぶつけ、虐待をしてしまうのです。
④性的虐待

性的虐待とは、高齢者に対してわいせつな行為をはたらく、性的な虐待がおこなわれることです。
具体的には、性行為の強要、性器を触る、キスなどがあり、どれも高齢者の尊厳を傷つける悪質な虐待です。
また、懲罰的に裸にして放置するなど、高齢者を辱める行動や言動も性的な虐待です。
入浴の介助や着替えのサポート、排泄ケアの際に、プライバシーの配慮をしないままおこなうことも性的虐待のひとつです。
⑤経済的虐待

経済的虐待とは、本人の合意なく財産や金銭を使用したり処分することや
本人の希望する金銭の使用を理由がないにも関わらず制限したり、生活に必要なお金を渡さないことです。
※認知症で判断能力の低下した高齢者であれば、家族が金銭管理をおこなうケースもあります。
虐待が起きる原因
在宅での介護で虐待が起こる一番の理由は
虐待者の介護疲れやストレスです。
介護は食事・入浴・排泄の介助など、
身体的に負荷がかかるものが多く、肉体的な疲労が精神的疲労にもつながりやすいものです。
高齢者の生活を支えていくには一日の中で長時間の付き添いが必要です。
そのため、介護者がゆっくりと過ごす時間が減り、自宅にこもりきりになります。
いつまで介護が続くかわからない状況で、外部との交流が減り、肉体的な疲れから追い詰められ、虐待に発展してしまうことも多いです。
また、介護費用がかかることや、介護に時間を使うことで収入が減り、経済的な不安から虐待につながることもあります。
在宅介護は閉鎖的な環境で、一人で抱え込みがちになってしまうため注意が必要です。
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出を控えたり、介護サービスの利用を自粛したりして、自宅でケアをする負担が増えたことが背景にあります。
誰から虐待を受けるか
被虐待者からみた虐待者の続柄は、息子が最も多く、次いで夫と続き、6割が男性介護者です。
核家族化や未婚率が増え、これまで仕事をしていた男性が慣れない介護や家事を
することによってストレスを感じ、虐待に発展していると考えられています。
虐待している側は自覚がない
通報に至ったケースで、外から見れば明らかに虐待だと
判断されたケースでもなんと約半数の人が自覚がないことがわかります。
自覚に至らない原因として、
〇 介護疲れや日々のイライラ
〇 介護の知識不足
〇 閉鎖的な空間、相談できない環境
〇「身内だから、これぐらいなら大丈夫だろう」という思い込み
上記のことが挙げられ、介護の大変さから高齢者に強くあたり、虐待に発展してしまいます。
終わりが見えない介護
在宅介護の平均期間は5年1カ月となっています。
高齢者もずっと同じ状態ではありません。
少しずつ体力も落ち、体が動かなくなると介護の負担もどんどんと増えていきます。
年数が経てば経つほど、家族への精神・体力・経済に負担がいきます。
在宅介護を取り巻く状況はその家庭ごとに違いますが、
毎日のように介護の負担がのしかかる生活が何年も続いてしまえば、いつか限界が来るのは当たり前のことです。
介護を受ける側の
「施設に入りたくない!」「自宅で過ごしたい!」「自分はまだ大丈夫だ!」
介護をする側の
「家族だから」「かわいそうだから」「説得できないから・・・」
そのお互いの思いから在宅介護をせざるを得なくなり、相談もできず、1人で負担を抱え
負のスパイラルに入っていく・・・。世の中にはそのような方々がたくさんいます。
まとめ
虐待は絶対にしてはいけません。でも・・・
介護は本当に大変です。
親だから、夫だから、妻だから、家族だから・・・
そのような言葉でなんとか自分を奮い立たし、
介護に向き合っていくしかないご家族が日本にはたくさんいます。
ゴールが見えず、先の見えない不安の日々の中で
毎日苦悩している方はあなただけではありません。
当ホームページ・【カイゴアイ】は、
その方たちのために少しでもお役に立てればと思い作成されています。

どうかこの日本でつらく苦しい日々を過ごしている高齢者が、ご家族が1人でも救われますように・・・






















