認知症にもいろいろある??種類別に詳しく解説!
「認知症」という言葉を聞いたことがありますか?昔は「痴呆(ちほう)」と呼ばれていた時代もありました。ですが侮辱的・差別的表現だと問題提起され、2005年の介護保険改正の際に「認知症」と呼ばれるようになりました。
いま日本は高齢者が増え続けており、厚生労働省の調査によると65歳以上の高齢者の3人に1人が認知症かその予備軍であるそうです。
テレビ番組でも「認知症予防」の放送がされていたり、ニュースなどで認知症という言葉を聞く機会が増えています。
では実際、認知症とはどういうものか知っていますか?今回は認知症についてお伝えします。
認知症は病名ではない

認知症を病名だと思っている人はたくさんいます。私も認知症は医師が診断をするときに「認知症」という病名をつけるものだと思っていました。でも実は違うのです。
認知症とは、脳の細胞が死んでしまったり働きが悪くなることでさまざまな障害を起こし、社会生活に支障をきたす「状態」のことをいいます。「状態」つまり認知症=症状なのです。
自分の名前がわからない…親族の顔がわからない…朝なのか夜なのか分からない…それにより生活に支障が起きることを「認知症」といいます。
では病名はなんでしょうか?「アルツハイマー型認知症」「老人性認知症」「脳血管性認知症」など、聞いたことがあると思いますが、「〇〇型認知症」「〇〇性認知症」この呼び方が病名になります。
4大認知症
認知症と診断された方の8割以上は「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症(ピック病)」のいずれかに診断されます。この4つの認知症を四大認知症と呼びます。
アルツハイマー型認知症
4大認知症の中でも、割合がもっとも多い認知症はアルツハイマー型認知症です。男性よりも女性の発症率の方が多いという特徴があります。
その理由は、女性の方が長寿であることやホルモンが可能性としてあげられています。ただ、男性の方がアルツハイマー型認知症にかかると死亡リスクが高いという研究結果もあります。
原因
アルツハイマー型認知症の原因は脳内にアミロイドβやタウタンパクという物質が溜まります。その物質が神経細胞を壊します。脳のなかの記憶にかかわる”海馬”という器官の萎縮が始まり、徐々に脳全体にひろがっていきます。
しかし、なぜアミロイドβやタウタンパクが脳内に蓄積されるのかの理由は、まだわかっていません。
主な症状
アルツハイマー型認知症の症状は、みなさんが想像する「認知症」と聞いて連想される症状が出ます。
短期記憶障害
短期記憶障害とは新しいことを覚えられない、覚えたことをすぐに忘れてしまうなど、短い記憶を保てなくなることをいいます。
高齢になると誰でも記憶することが難しくなりますが、認知症の症状とは違いがあります。高齢になって起きる記憶障害の場合は、出来事の一部を忘れてしまうことがあります。
例えば、ごはんに何を食べたか思い出せなくなることがあります。これは高齢者に限ったことではなく、私たちもよくあります。その反面、認知症の場合は出来事のすべてを忘れてしまい、ごはんを食べたこと自体を忘れてしまうのです。
また認知症の進行が進むと鍋を火にかけたことを忘れたり、家への帰り道で迷子になったりと日常生活に支障をきたすことがあります。
判断能力の低下
アルツハイマー型認知症になると、判断能力が低下してしまいます。例えば、テレビやエアコンなど使い慣れた家電の操作が分からなくなったり、真夏にセーターを着ている・寒くても半袖のままなど、気候にあった服装ができないなどが挙げられます。説明を聞いても正しく理解するのが難しくなります。
見当識障害
見当識障害とは日付や時刻、状況、周囲の人物などを正しく判断することができなくなり、自分の置かれている状況を理解できなくなります。
今の時間や場所、季節がわからなくなるなどの症状があります。近所で迷子になったり、大好きな家族がわからなくなったりします。
その他詳しい認知症の症状・ケア方法についてはこちら⇩
脳血管性認知症
脳血管性認知症とは脳梗塞や脳卒中など、脳の病気から発症する認知症のことです。認知機能の低下があり、その背景に脳血管疾患の影響が認められたとき、脳血管性認知症であると診断されます。
アルツハイマー型認知症の次に日本では最も多い認知症で、男性に多く見られます。また、65歳以下の人がなる若年性認知症の中で割合が多い認知症として知られています。
原因
脳血管性認知症は、脳出血(脳の血管が破れる)や脳梗塞(脳の血管が詰まる)などの脳血管障害により、脳の神経細胞がダメージを受けることにより発症します。
脳血管障害の原因には、喫煙や糖尿病、高血圧症、脂質異常症など生活習慣病が関係していると考えられています。
主な症状
アルツハイマー型認知症と同じ症状は、「短期記憶障害」や「判断力の低下」です。
脳血管性認知症の特徴としては、脳出血や脳梗塞により神経細胞のダメージを受けた場所によって症状が違うことです。
◎言葉が出せずに、想いが伝わりにくい言語障害
◎感情をコントロールできない感情失禁
◎歩行・嚥下・排尿などの運動機能障害
また、症状の進み方はゆっくりであったり、急激に進むことがあります。1日のうちに波があり午前中は記憶があったのに、夕方には急に記憶障害が起きるというのも脳血管性認知症の症状の1つです。(まだら認知症)
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症はパーキンソン病と同じ症状が出るため、パーキンソン病と区別がつきにくいです。
ほかの認知症に比べ、認知機能障害をはじめ、さまざまな症状が出てきます。できるだけ早く対策を行っていくことが重要です。
原因
レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体という特殊なタンパク質が溜まることで発症します。大脳皮質(だいのうひしつ)にレビー小体が溜まり、認知症の症状がでます。
レビー小体が脳幹に溜まると手足のふるえや筋肉の拘縮などのパーキンソン症状が発生します。なぜ脳に発生するのかは今のところはわかっていません。
主な症状
レビー小体型認知症とは幻視症状やパーキンソン症状、睡眠行動障害が特に目立った症状です。
幻視症状
実際にはその場にいない人や虫・動物などが、本人には見えるようになります。「虫が床を動いている」や「子どもが廊下で遊んでいる」など、話す内容は具体的なことが多いです。
何もない床に向かって虫を捕まえようとする仕草や、誰もいないところに向かって話しかけるなど、明らかな行幻視症状がわかるときもあります。
パーキンソン症状
手足が震える、筋肉がこわばる、動作がゆっくりになるなどの症状が現れます。また、前かがみの姿勢で歩幅が小さく小刻みに歩くなど、歩行姿勢も変わり、症状が進むと転倒のリスクが高まります。
睡眠行動障害
睡眠中、深い眠りである「ノンレム睡眠」と、眠りが浅い「レム睡眠」とを交互に繰り返しています。
レビー小体型認知症を発症している人は、レム睡眠中に奇声を上げたり、暴れるなどの行動が出ることがあります。寝言や寝ぼけての行動とは思えないほど、大きな声や激しい動作が現れることがあります。
注意
幻覚を抑えようとしたり、睡眠中の行動障害を抑え込むために「向精神薬」や「睡眠導入剤」を投与することもあります。
ただレビー小体型認知症の場合は、薬に過剰に反応してしまう特性もあるため、安易に使用することは本来してはいけません。
前頭側頭型認知症(ピック病)
前頭側頭型認知症とは脳の前頭葉や側頭葉前方が委縮する認知症です。およそ8割の方に「Pick球」が確認できることから「ピック病」とも呼ばれています。40代から60代の比較的若い段階で発症するケースが多い特徴的な認知症です。
原因
前頭側頭型認知症の原因は脳に異常タンパク質が蓄積し脳の前頭葉や側頭葉が萎縮します。しかし、どんなタンパク質が変異するのか、なぜ蓄積するかまだわかっていません。
主な症状
前頭側頭型認知症は他の認知症と違い、記憶障害などの症状はあまり出ません。前頭側頭型認知症の症状で多いのは、理性的な行動ができなくなったり、言葉が出にくくなったりすることがあります。
「人格障害」
前頭葉が委縮し判断や自分の感情をコントロールすることが難しくなり、人格が変わってしまう特徴があります。いつもニコニコ穏やかだった人が、なんでもないことで急に怒り出す。
おしゃれだった人が、お風呂も入らず着替えもしない。社交的だった人が、他人に興味がなくなり家から一歩も出ない。など、今までの人柄からは想像もできないような人物になってしまいます。
「反社会的行動」
なにがいけないのか理解が難しくなるため、買い物に行ってもお金を払わない。散歩に行ったときに、よその家の花壇から花を勝手に摘んでくる。
家のゴミを外にまき散らすなどの行動を起こしてしまいます。悪気はなく、理解ができないだけなのですが、周囲とのトラブルや生活に支障をきたします。
「常同行動」
常同行動とは、同じ動作や行動を何度も繰り返ししてしまうことをいいます。前頭側頭型認知症の場合、毎日同じ時間に同じ行動を取ることにこだわりを持つようになります。
その行動ができなくなったときに突然怒ったり、パニックになったりと落ち着かなくなるのが特徴的です。
混合型認知症

認知症は原因や症状により上記のように種類が分けられているのですが、複数の認知症を患った状態になることもあります。
認知症はどれか一種類だけしか発症しないというわけではありません。アルツハイマー型認知症+レビー小体型認知症のように組み合わさる状態のことをいい、もっとも多いのはアルツハイマー型認知症+血管性認知症の組み合わせであるといわれています。
また、最初の診断はアルツハイマー型認知症だったけれど、介護をしていくうちに幻覚症状が現れたため調べると「レビー小体型認知症」を発症していた…など、途中から合併することもあります。
今までの介護でなんとか頑張っていたけど、ほかの認知症状が現れ介護の負担が増えます。
まとめ

認知症は他人事ではない症状です。残念ながらはっきりとした原因がまだわかっておらず、治療方法も確立されていません。
アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる薬も開発されていますが、効果があるのかはいまだに実証されていないのが現実です。認知症は誰にでもなり得るのです。親も、身内も、そして自分自身も患う可能性がります。
認知症は早期発見、対策が必要になってきます。正しい介護・ケアを行うことで認知症の進行を遅らせたり、穏やかに過ごすことができます。
認知症の症状・ケア方法について⇩
認知症介護は身体介護とは違い心のケアにも結び付いてきます。認知症介護を専門とした施設がたくさんあります。専門家に相談してみるのも良いと思います。
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