介護の仕事をしている方、これから介護の仕事をはじめようとしている方へ、今回は介護士の基本の「き」をお伝えしようと思います。
私は介護士は究極の接客業だと思っています。声かけや要望を聞くだけではなく、お客様の身体に触れる、恥ずかしい部分を見る場面もあります。
現場の場数を踏むと、経験や日々の学びからなんとなく「これぐらいでいいだろう」「感覚的にこうかな?」ということを想像しアプローチしていく場があると思います。それは過去の経験からのものでもちろん大切なことです。
しかし、本来の目的や基本の「き」の字は根本的に必要です。でも日々の業務の膨大さや経験が長くなってしまうと初心を忘れてしまう…私もそうでした。
今回は基本の「き」をお伝えし、初心を取り戻して明日に繋げていけたらと思います。また介護を始めたばかりの方もこの記事を読んで、日々の業務に生かせたら幸いです。
社内での研修でも活用できるように作成しております。
「社内の研修なにしようかな?」とお困りの方、ぜひご活用いただけたらと思います。
※資料については最後にPDF添付しております。ご自由にお使いください。
(1) 介護をされる側はどう思っている?
(2) 介護保険法とは?
(3) プロの介護士として
・接遇の基本マナー5原則
(1) 挨拶
(2) 言葉使い
(3) 表情
(4) 態度、姿勢
(5) 身だしなみ
・実践の場で意識すること
・まとめ

(1)介護をされる側はどう思っている?
まず2つ質問をします。
Q1.「将来介護を受けたい?」
Q2.「受けるなら、どのような介護が良い?」
この2つの質問をたくさんの介護士の人にしてきました。ほとんどの人は「介護を受けたくない」「優しくしてほしい」「楽しい老後を過ごしたい」そのように言われます。
では、「優しい」とはなんでしょう?「楽しい」とは?「優しい声かけ」をとよく耳にしますが、物理的に声を柔らかくして話すことできたとしても”相手にとって”優しい声かけとはなんでしょう?「楽しくしてほしい」の「楽しい」はいったいなんでしょう?
1人1人、優しさや楽しさの概念は違います。私にとって優しいとは【私のことを想って怒ってくれる人】だと思いますが、怒られることが嫌で、怒られることが優しいと思わない人もたくさんいます。私は飼っている猫を眺めていると楽しいですが、猫が嫌いな人もいるし【楽しい】は人によってさまざまです。
このようにただ優しくされたい、楽しくしてほしい、自立支援を目的とした介護を思っていたとしても、1人1人受けたい介護は異なります。なぜなら、年齢や・生活環境・価値観・現在の状況が全員違うからです。
しかし、その中でも全員が共通していることが1つだけあります。
それは自分の性格、今までの生活、好きな食べ物、好きなこと・・・など自分を理解してほしい。自分自身をわかって介護してほしい。これはみなさんが共通して願っていることなのです。
(2)介護保険法の理解
介護保険法は、2000年に制定されました。この介護保険法が制定されていないと、現在の日本の介護はありません。
では、その介護保険法が制定された目的をご存じでしょうか?
法律はなぜ難しく書くのでしょうか・・・
私が伝えたい大切なことは下線の部分。「これらの者、つまり要介護者が、尊厳を保持し、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう」というところです。
つまり、この難しい文をもっと簡単に言うと介護は自立支援を目的としたサービスであり、その人がその人らしく生きるために私たち介護士が援助していくことが1番大切なのです。 介護の仕事は、衣食住を提供するだけではないということです。
(3)プロの介護士として
要介護状態に望んでなる人はいません。冒頭での質問で「介護を受けたいですか?受けたくないですか?」と聞きましたが、みなさんやはり受けたくないですよね。
受けたくない…けれども、誰かにお世話してもらわないと生活ができないのです。 だから私たちがすることは、どのようにその人自身を知り、その人らしさを演出していくことで豊かで潤いのある生活が出来るのかを考えるのがプロの介護士なのです。

接遇とは相手を理解し思いやりを持って対応することです。それに対して基本のマナー5原則があります。
(1)あいさつ
気持ちのいい挨拶できていますか?そもそも気持ちのいい挨拶とはなんでしょう?気持ちの良い挨拶をするためのポイントを5つ紹介します。
◎相手にとって聞こえる声ではっきりと
相手は職員であっても、利用者さんであっても、相手の聞こえ方によってあいさつする側が調整するのが思いやりです。私は、同年代の人と比べるとどちらかというと耳が遠いです。だから、できれば少し大きめの声のほうが助かります。 でも、私に対する大きな声で若い人にあいさつすると「うるさい!」と思われるかもしれません。 大事なのは「相手にとって」というところがポイントです。
◎明るく元気に笑顔で
当たり前のことかもしれませんが、暗く憂鬱な表情であいさつされても嬉しくも気持ちよくもないですよね。笑顔でされるあいさつはとても気持ちがよく、された側も嬉しくなります。
◎相手の顔を見ること
実は意外と出来ていない人が多いです。下を向きながらや、とりあえずあいさつしとけばいいと思って声だけ出すあいさつしてしまう人。目が合わないうちに挨拶すると誰に言ったの?ってなります。
◎相手の立場、場所、状況に合わせてあいさつをする
例えばすごく忙しそうにしている人に対してあいさつしたとしても、自分が忙しい立場だったら気持ちのいいあいさつは返せません。お互いあいさつはされたら返すのは当たり前なのですが、そういう相手の立場や状況を理解できてはじめて思いやりのある気持ちのいいあいさつだといえると思います。
◎先取りあいさつ
私の学生時代「先取りあいさつ週間」というものがありました。友達の顔を見たらとにかく先にあいさつしよう!という運動です。先にあいさつしてもらったら嬉しいですよね。ぜひみなさん相手よりも自分のほうが早くあいさつできるように心がけてみてください。
(2)言葉使い
利用者さんに対する言葉遣いは、基本的には敬語です。相手は人生の大先輩です。 指示や命令、ネガティブな表現やプライドを傷つけるようなことは絶対にしてはいけません。介護現場は利用者さんにとっては生活の場であるので、日常的かつ家庭的な安心感が得られる柔らかい言葉が理想です。
日々の生活の中で、信頼関係が出来上がり言葉が崩れがちな人もいます。決してすべてが悪いとは思いませんが、お互いが良くても「周りが聞いたらどう思うか」が重要です。介護は接客業です。親しみを込めていても、丁寧な言葉使いで接したほうがいいでしょう。
(3)表情
利用者さんは本当に私たちの表情や顔色をよーく見ています。介護士のきつそうな表情を見ると利用者さんは話かけることできません。介護はまず信頼関係を築いていかなければならないです。 毎日忙しいとは思いますが、できるだけ笑顔で接することが大切です。 また、話を聞く際には相手の目を見て明るくにこやかに対応しましょう。この人がいると安心できる、もっと話したいと思ってもらえるようにしましょう。
(4)態度、姿勢
困ったなぁ、助けてほしいなぁ、と利用者さんが悩んでいるときに、手を止めてどうしたんですか?と聞いてくれる人とバタバタ忙しくしながらどうしたの!?と聞く人、どちらの人に介護されたいですか? まず、相手を知ることは聞くことからはじまります。 利用者さんの話に耳を傾け、理解しようとする姿勢はとても大事です。相手のことを全部理解することは難しいのですが、今聞いてくれているな、聞いてくれていないなというのは必ず相手に伝わります。 聞く姿勢として、首だけ向けるより話を聞くときにしっかりと上半身を相手に向け、声をかけたくなる話したくなるような態度で接しましょう。
(5)身だしなみ
介護をするときは物理的に距離が近くなり、直接体に触れることも多いです。 清潔感がありかつ機能的な身だしなみを心掛けましょう。
◎髪型
近頃は髪色の規則がない施設が増えてきました。髪型を気にしていては介護職員が集まりません。それこそ、自分が現場で働いていたときには金髪や紫色にしている人もいました。おしゃれを楽しむことはとても大切です。しかし、大事なのは利用者さんがどう思うか?というところです。利用者さんに不快な思いをさせなければいいと思います。
また、寝癖いっぱいの髪型で来られると不潔なイメージを与えてしまいますので、注意してください。
◎顔
できるだけ男性は髭を剃ってほしいです。女性も清潔感のある化粧のほうがいいです。 今はコロナでマスクをするので半分しか見えないのですが、マスクを外す機会もだいぶ増えてきました。一番見られる場所は顔だということを理解して清潔感があるように努めていただきたいです。
◎手元
今自分の手元を見てください。 爪が伸びていませんか?介護は身体を触る行為が増えます。高齢者は皮膚や免疫力がとても弱く、爪が伸びていることで傷つけたり雑菌で感染させてしまうことあります。爪は必ず短くしてください。
◎足元
足元は意外と見られないようでみんな見ています。かかとが踏まれてボロボロになった靴は清潔感があるとは言えないですよね。
◎服装
しわや汚れがあったり、ダボダボしていて腰パンしていたら見るからに嫌な感じですよね。ユニフォームがある施設なら良いですが、ない施設もあります。動きやすければなんでもOKなのですが、やはり清潔感を大切にしてもらいたいなと思います。 相手にとって不快感を与えない恰好をしていただけたらと思います。

①目線の高さを合わせる
会話をするときに、目を合わすことは基本中の基本です。特に高齢者は骨密度が低くなり背が縮みます。私たち介護職員のほうが圧倒的に目線が高いので、かがんだりしゃがんだりして目線の高さを合わせましょう。
②忙しくても傾聴の姿勢を忘れない
自分が話すよりも相手の話を聞くことのほうが重要です。 たとえ忙しくても利用者さんから話しかけられたら、一旦手を止めてじっくり話に耳を傾けましょう。
③思いやりの心を持つ
自分の主張やルールを押し付けてしまうことがあります。 でも、思いやりを忘れなければ、自然に言葉遣いも正しくなりますし、優しい表情もできるようになります。

この記事を書きながら「自分も出来ていなかったな」と少し心を痛めてしまうことがありました。当たり前のことしか言っていませんが、この当たり前ができなくなるぐらい介護の現場が過酷なのも理解しています。家に帰り何度も「あのとき、こんな風にしておけばよかった」と反省することも多々ありましたし、今でも思い出すことがあります。
後悔しても、過ぎた時間は返ってきませんし、相手は高齢者。時間がもうないのです。もしかすると相手にとってあなたが最後に出会う人なのかもしれません。
お互いが後悔しないために、幸せな最期を過ごしてもらえるように、相手が人間であることを忘れないように介護に向き合っていただきたいと思います。
日々のお仕事本当にお疲れ様です。
新年度が始まりました。新卒の方や、新入社員の方たちの社内研修用に作成しております。
ぜひ研修に取り入れてみていただければいいなと思います。
介護の基本についての資料はこちら→(PDF)













